幹部の動きで経営指標が改善し利益体質に変わる

幹部の動きで経営指標が改善し利益体質に変わる

2024/07/01

幹部の動きで経営指標が改善し利益体質に変わる

かず、稼げず、やる気もないニッポンのビジネスマン

 データから見ると日本経済の衰退ぶりがよくわかる。

「労働時間」バブル絶頂期の1989年が、2120時間。2021年には1607時間と24%減少。アメリカや韓国よりも随分短い。働き方改革が働かせない改革となっている。

「平均賃金」30年間、433万円と横バイで推移。かつて世界2位からいまや23位。先進国ではもちろん最下位。賃金は変わらないが税金は大幅に増え実質賃金 (手取り)は減少。

「労働生産性」一時間当たりの付加価値は世界31位。アメリカの約半分。デジタル化の遅れもあるが、何といっても「シゴト」に対する姿勢が根本問題。「志事」ではなく、言われたことしかやらない「死事」になっている比率が間違いなく高くなった。

「仕事への熱意」アメリカの調査会社が毎年実施。日本は140ヶ国中、ダントツの最下位。やる気ある人間はわずか6%。トップはアメリカの32%。ここ数年、毎年最下位である。これが現実だ。

 全ての企業がそうではない。「赤字は悪」「競争があるから進歩がある」「仕事を通して自らが成長する」このような企業風土の組織は圧倒的な業績を残している。いまの時代だからこそ、考え方や、仕事へ取り組む姿勢があらためて問われている。日本全体が甘く、ゆるい世界へ爆走している。その真逆をトコトン突き進むところに勝機がある。

■業績は全て幹部で決まる

 幹部とは部門経営者であり、ミニ経営者でもある。与えられた目標を何がなんでも達成する強い信念を持たなければ結果はついてこない。業績は全て数字で判断される。その業績を上げるための指標やモノサシをまず把握することだ。幹部が行動し結果を出すことで経営指標は大きく改善する。その切り口は次の8点。

1.粗利益率の改善

 粗利益率の改善があっての売上拡大は成長。粗利益率が低下しての売上拡大は膨張だ。率とは質を表す。粗利益率を上げるためには①人のレベル、②具体的提案、③商品開発、④短納期が必要不可欠。高い粗利益率を確保できれば在庫、回収のリスクヘッジとなる。

2.在庫の考え方

 まずは在庫の社内基準を明確にすることだ。少ない在庫を高速回転することが理想。まず在庫にはコストがかかる。①倉庫代、②人件費、③金利、④廃棄ロス。全社員が在庫はお金だという意識を強く持つことからスタートせよ。戦略的に在庫を多く持つなら、売上高の伸長、そして高い粗利益率での販売がキメテとなる。

3.徹底した回収管理

 売上をいくら伸ばしても回収が遅れると資金繰りが悪化する。当然のことだ。「勘定合って銭足らず」とはまさにこのこと。特に最近、倒産件数が急激に増加している。完全回収するには

①顧客の小さな変化に気づく鋭い洞察力

②取引契約書の作成

③与信枠の設定と厳守

④顧客との信頼関係(支払いの優先権)

以上4点。

4.損益分岐点の把握

 損益分岐点とは収益がトントンとなる時の売上高だ。まず月度の販管費を把握する。例えば毎月500万円の部門販管費だとする。予想粗利益率が30%とすると500万円/(0.3)=1666万円(変動費を除く、簡易的計算方法)となる。それを部門全員が認識すると意識と行動が変わり、収益力高い組織に生まれ変わる。実際、収益力が高い組織は毎月、20日前後には、損益分岐点を越えてくるものだ。損益分岐点を下げるには、①売上目標の達成、②販管費の圧縮、③粗利益率の改 善。この3点しかない。

5.PH(一人当たり生産性 )経営の推進

 一人当たりの粗利益を最大化することだ。理想は、少数精鋭。しかし落とし穴もある。一人当たりのPHを伸ばしたいが為、人をコストとしてみなす傾向がある。増員を避ける幹部も見受けられる。人は戦略投資として位置づけることだ。一人当たりのPHは3年間で20%、伸長することが目標。

6.労働分配率

 労働分配率とは、売上総利益(粗利益)に対する人件費の比率。全国の中小企業の労働分配率は70%程度。一方、大手企業は38%とかなり差がある。通常65%を超えると赤字に転落してしまう。大企業は賃上げ余力は高い。一方、中小企業はとてつもなく厳しい。赤字で持続的な賃上げは不可能。適正な労働分配率を実現するには、①売上目標の達成、②付加価値高い商品開発(高粗利益率商品)、③仕事の合理化と部門間の連携強化、④一人当たりの生産性向上。以上4点がポイントとなる。

7.自己資本比率

 高ければ高いほど、経営が安定する。キーエンスの自己資本比率はなんと95%、ユニクロが45%。30%を超えるとまずまず。自己資本比率を高めるには、しっかり利益を上げ、納税することにつきる。

8.総資産経常利益率 (ROA

 一般の幹部には聞きなれない指標だ。企業の総資産、つまり会社が持っているすべての資産(現金、在庫、設備、借金、売掛)でどれだけの経常利益率を確保できるか、である。合格ラインは10%。欧米企業に比べて日本企業のROAはかなり低い。経営の効率性を示す指標である。ROAを高めるには①経常利益を最大化する、②資産の圧縮、とりわけ在庫、売掛を圧縮する。以上2点が重要。

■経営とは人を育て純資産を最大化すること  

 「納税こそ最大の節税」「最強の社会貢献とは納税の義務と雇用を守ること」。20代半ばから生意気なことを親子以上に年の離れた経営者に熱く語っていたものだしかし、時代は変われど、その原理原則は全く変わらない。経営とはゴールのないマラソン。いまの幹部が次世代を育成し、しっかりタスキを渡すことが肝要。そのためにも幹部は経営知識と経営指標を持ち実践で役立てるべきだ。   

ワンポイントトーク
幹部が数字に強くなり、努力の方向性を具体的に示すことが重要だ!

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