■コロナの後にも試練は続く
いったん落ち着いたコロナも年明けからオミクロン株が大爆発。このニュースが届く頃にはピークアウトしているであろう。しかし、コロナの後にも様々な経営リスクが待ち受けている。そのリスクとは
①更なる原材料高騰
世界はコロナと共存の道を選択。そのため低迷していた経済、消費が欧米を中心に回復。そこに需要ギャップが生まれる。エネルギー、半導体、食品とあらゆる資材がまだまだ上昇する。
②インフレ圧力が強まり利上が加速
物価上昇つまりインフレが顕著だ。日本も一年後には5%の物価上昇が予想される。欧米は更に高い。それを抑えるために政策金利が引き上げられる(金融引き締め)。世界の株価も調整局面で下落。金利上昇で借金過多の企業は財務改善が急務。金融機関の目は厳しくなるのは確実だ。
③戦争リスク
ウクライナ情勢が緊迫している。ロシアが軍事侵攻する可能性もゼロではない。万が一進行するとよもやの事態となる。世界の目がウクライナに向いている。そのスキを狙って中国が台湾進攻…絶対にないとは言い切れない。台湾リスクは日本リスクでもある。どのような経営環境であれ会社をつぶしてはならない。その強い意志をどこまでリーダーたるものが本気で持てるかが重要なのだ。
■育成スピードを思いっきりあげろ
このように経営環境が予測不能状態だ。10年ひと昔がいまや1日ひと昔状態。これまでは新卒3年、中途1年かけて戦力にせよと言い続けてきた。しかし、この育成スピードではとてもじゃないが変化に対応できない。そのツケは先輩社員やリーダーに無謀な目標設定としてのしかかってくる。固定概念を捨て新卒1年、中途3ヵ月で稼ぎ柱にする、という意識と仕組みを考えるべきだ。「彼はまだ入って1年も経ちません。じっくり育てましょう」そんな悠長なことを言ってる時代ではないのだ。
■リーダーは風紀委員長たれ
クレームが多発する工場は汚く工具類や物が散乱している。社用車も同じく汚れ車中はゴミだらけ。社員はと言えば清潔感に欠けだらしなく見える。こんな状態で人が育つわけがない。業績向上を目指すならまず自らが働く場をゴミひとつなくピカピカに磨き上げることが重要だ。身だしなみ、言葉づかい、整理整頓とそこに乱れがあるのなら人は育たず、業績も乱れる。リーダーは乱れた風紀に鋭くメスを入れ徹底して指導することだ。これこそ環境整備の基本中の基本。リーダーは風紀委員長たれというゆえんなのだ。働く場を見れば決算内容は確実に予測できる。
■稼げる人材を育てる社風創り
稼げる人材を育てる社風創りのポイントは次の6点。
1.人が育つ7つのスローガンを徹底せよ
①理念共有→同じ志を持った組織は折れない心、ブレない信念がある。理念とは束ねる力だ。
②考え方→仕事にどう向き合っているのか。自責の精神、社会に役立つ人間、必要とされる人材は心のスキルが極めて高い。考え方で人生の方向性は決まる。
③5S→5Sとは整理、整頓、清掃、清潔、躾のこと。ムダやロスがなくあらゆる品質が高い。5Sの徹底は企業、人材の品格となる。
④熱意→やる気に勝る強さはない。伸びている企業の社員は熱量がとにかくスゴい。お客様に対し泥臭く足を運んでいる。理屈抜きに現場で汗をかいている。熱意こそが最大の差別化。いまの時代は特に希少価値が高い。
⑤危機感→先を見て手を打つスピードが速い。目標未達は悪、赤字は悪、言い訳は悪。その考え方こそが本物のミニ経営者なのだ。本気度が違う。真剣さが違う。目の輝きが違う。
⑥行動力→行動力が自らの人生を変える。失敗もまた経験だ。その経験が体に染み込み生産性に直結するノウハウとなる。実践を通したスゴみがあり、言葉にも説得力がある。
⑦結果→仕事は結果が全て。結果を出して本物の自信へつながる。決して慢心せず謙虚な姿勢が更なる成長を促す。女子ゴルフ銀メダル、稲見萌寧選手は試合翌日の10時にはすでに練習スタート。常に高みを目指している。
2.仕事を楽しめと安易に言うな。
会社は楽しむ場所ではない。生産性を高め稼ぐ場である。よく耳にするが。仕事をもっと楽しめと上司の言葉。いまの若者のほとんどが〝勘違い〟を起こす。「楽しめ」を「楽せよ」と。これでは人は育たずだ。仕事を楽しめるのは一握りのプロ。多くの人間が苦しもがく。しかしそれを克服するとこれまでの努力が充実感に変わる。厳しさの先に豊かさあり、甘さの先には後悔だけが残る。
3.顧客に熱意を売る組織、人であれ
テクノロジーがいくら進化しても人の心は変わることはい。その心を動かすのは何といっても熱意である。レスポンスが速い。よく勉強している。人柄が良い。この姿勢が顧客の心に突き刺さりファン化するのだ。ITやAIなどのツールで人の心を揺さぶることはあり得ない。
4.給与はどこから(誰から)もらっている?を明確にせよ
①給与はお客様から
社員のレベルが低い企業は給与はどこからもらっているの問いに、会社から、経理から、社長からもらっていると平気で答える。このような企業はやはり生産性が低い。給与はお客様からもらっている。ならそのお客様をトコトン大切にしているかを考えなければいけない。
②給与は粗利益から出る
これは財務的な考え方である。いくら売上を伸ばしても粗利益が薄いと資金繰りが悪化しまともな給与を支払うことができない。経営で最も大切なことは売上総利益(粗利益)の最大化である。稼げる人材を育てるには右手に顧客志向と、左手にソロバン勘定。そのバランスを身につけることだ。
5.同年代の競争意識を高めろ
同期、同世代のアイツには負けたくないと闘争心をむき出しにする。このような組織は成長が速い。逆に人が育たない組織は、人は人、自分は自分。実に冷めている。そういう空気、流れを作るのもリーダーの仕事である。
6.積極的な人事異動
伸びない最大の敵は、マンネリだ。同じ部門に何年もいたら誰だってマンネリになる。工場→営業→工場。営業→工場→管理。マンネリ防止と適材の職務が見えてくる。
■リーダーの仕事に対する姿勢が風土となる
人が育たない、人が辞める、業績未達。全てリーダーの責任だ。物申したいこともあるだろう。どの企業においてもリーダーは厳しい立ち位置におかれている。条件は皆同じ。そこを突破し底上げするのが本物のリーダー。そのプロセスを部下は常に見ているのだ。まさに仕事に対するリーダーの姿
勢。稼げる人材が育つ風土はリーダー自身にかかっている。
株式会社経営支援センター 国吉拡
ワンポイントトーク
【企業の成長と、新卒(中途)社員の成長スピードは比例する。人が育つ環境づくりを再徹底せよ】