目標設定のやり方と、達成に向けてのフォロー

目標設定のやり方と、達成に向けてのフォロー

2023/09/01

目標設定のやり方と、達成に向けてのフォロー

テーマ㉔「目標設定のやり方と、達成に向けてのフォロー」

 弊社では目標達成支援のため、お客様の営業会議を運営します。8月、ある企業で月初の定例会議を行った際の一コマです。「今月は目標達成できますか?」と問いかけると営業Aさんは「恐らく達成できます。」との回答。根拠を確認したところ、「最近調子が良いからです。好調な受注が続いています」と。「では目標に対しいくら不足しているのですか?」と尋ねても即答できません。目標に対する意識が乏しい。更に言うと目標を正確に理解さえしておらず、目標達成が自分ごとになっていません。もちろんAさんの意識が低いのは事実ですが、目標を設定するプロセス、立てた目標を達成させるフォロー体制にも問題があります。今回は目標設定および上司がどのように目標達成をフォローしていけばよいかを解説します。

「営業部の目標設定の場面」

    食品卸売業A社営業部では期末にあたり、今期の振り返り及び次年度の目標設定を行っています。営業部として、今期と比較し10%増の売上拡大を経営陣より指示を受け、佐々木部長は営業1課の田中課長と各メンバーの目標数値の設定について相談しています。佐々木部長「各人の目標数字はどうしようか?今期と比較して全員一律に目標数字を10%を上げるのはさすがに良くないと思っています。どのように設定するべきかアイディアはありますか?」田中課長「若手の中には今期の目標が全く腹落ちされておらず、目標達成に対する意識に乏しいメンバーも数人いました。来年度は目標設定の時点で、しっかりと動機づけと対話を行う必要がある、と考えています。目標設定からフォローの進め方の案を書面にまとめますので、明日もう一度お時間を頂けますか?」

解説

    目標管理制度とは、経営学の巨人ドラッカーが提唱した、目標を使って上司が部下をマネジメントする手法です。この手法を上手く活用していくことで、個人の成長やメンバーのモチベーション向上につながることが期待されます。しかしながら、ほとんどの企業の現場では、ただのノルマ管理ツールになり、目標を与えられた側は全く自分ごとになっていないのが現状です。それでは、目標管理制度が上手く回っていくためにはどのようにすればよいでしょうか。

1.会社・組織の現状を全社員が理解する

    まずは会社の現状(数字)や組織の部門別会計をメンバーに詳らか(つまびらか)に開示し、共有・理解すること。知識も無い社員に対し中途半端に決算書を開示すれば、利益の分配などで反発が生まれるのではないかという懸念があるかもしれません。その懸念に対する回答は非常にシンプルです。売上の現状、利益の現状など、自社の決算書を理解できるまで、繰り返し勉強会を行うことです。そうすれば、自身の生活を守るために、自社の利益を上げることがいかに重要かが肌身に染みて理解することができます。

2.組織の方向性(理念)に合意 

    人の性格、価値観は様々です。想いを一つにすることなどはできません。しかしながら、各メンバーが描く組織のゴールがバラバラでは、目標に対する納得感は得られません。まずは組織の進む方向に合意するため徹底的な議論が目標の腹落ちにつながっていきます。

3.個々の目標設定

    個々の目標は有名なフレームワークである、「SMARTの法則」にそって設定していきます。

①S:specific(具体的に)

    明確で具体的な表現や言葉で書き表す

②M:measurable(測定可能な)

    その内容を数字で定量化して表す

③A:achievable(達成可能な)

    現実的な内容かどうかを確認する

④R:related(経営目標に関連した)

    設定した目標が部署の目標、さらには会社の目標に関連する内容 

    になっているか確認する

⑤T:timebound(時間制約がある)

    目標達成の期限を設定する

4.大きな目標はできるだけ小さな目標に落とし込む 

    目標は遠くにあるときは実現できないのではないかと感じてしまいます。年間2,500件のアプローチをしないといけないのであれば、1か月208件。1日に直すと7件。細分化することで手が届く目標と感じることができます。

5.先行管理、差額管理

    目標はただの積み上げでは達成できません。営業で言えば当月の数字を当月につくっていては達成は困難です。2~3カ月先を見越し、目標に対する差額をいかに埋めていくか、その差額対策を具体的に行っていくことが安定的な目標達成につながります(※先行管理・差額管理の仕組みづくりのご支援はお問合せください)

6.結局のところ上司・部下のコミュニケーション

    目標達成できるかできないか、部下が目標を自分ごととして理解するかは、結局、日頃から上司・部下が密にコミュニケーションを取れているかどうか、信頼関係こそが最も大切な要素となります。「〇〇課長と約束した目標だから達成したい」そう思われる必要があります。営業部では、全面的に目標設定のやり方を見直しました。まずは、会社の現状、営業部に期待されている役割をしっかりと共有した上で個々の目標設定を行い、上司・部下との間の密なコミュニケーションを徹底することとしました。

【ポイント】
目標を有効的に活用すれば、業績向上・組織とメンバーの成長につながっていく。

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