令和6年度新入社員の傾向と対策

令和6年度新入社員の傾向と対策

2024/05/01

令和6年度新入社員の傾向と対策

テーマ㉜「令和6年度新入社員の傾向と対策」

    当コラムを執筆している本日は4月15日です。3月下旬から連日担当していた新入社員研修もようやくひと段落しました。おかげ様で50社以上、約300名の新入社員に対して、心構えやマナー、基本的なビジネススキルの研修を行いました。例年のことではありますが、数ある研修会社の中で経営支援センターをご指名いただくことは、非常にありがたいです。受講者の皆さんのフレッシュな表情、前向き発言に触れることで私自身も刺激を受け、講師でありながら新鮮な気持ちになることができます。

    今回は、研修の中で触れた生の声、そしてデータ・時代背景からみる傾向値をもとに、令和6年度の新入社員の傾向と育成のための対策を解説していきます。

「今年の新入社員は・・・

    本年私が担当した某企業の新入社員研修のエピソードです。事前に、「今年の新入社員は反応が薄く、人の話を聞いているのかどうかわからない。コミュニケーションの指導をしてほしい。」とご要望いただきました。いざ、研修が始まってみると、最初こそ緊張から反応が固いように見受けられましたが、1時間も研修を行えば全くその様子はなくなります。自分の考えを明確に表現する発信力もあります。知識もあり、前向きです。むしろ、事前に打ち合わせを行った人事担当者の方がよほど自分の殻に閉じこもり、コミュニケーション下手であると感じました。この事例にとどまらず、研修講師の立場から申し上げれば本年の新入社員は非常に優秀かつ目標意識が高いのが特長です。彼ら、彼女たちを鍛えようと意気込んだところで、指導する側のレベルが低ければ逆に会社に愛想をつかされ、早期退職に至る可能性があります。

解説

本年度の新入社員の時代背景を解説します。

1.Z世代とは何か

    ステレオタイプで世代を解説するのは注意が必要ですが、一定の傾向はあります。今年の新入社員はZ世代に該当します。Z世代とはあくまでも海外の概念であり、日本では「脱ゆとり世代」と定義する方が正しいです。①1997年以降に生まれ、②脱ゆとりの方針のもと小中学校の学習量は詰め込み教育世代に戻りました。③幼少期からネット環境に触れ、デジタルネイティブでもあります。

2.コロナ禍~脱コロナ

    2020年4月7日、第1回目の緊急事態宣言が発令され、コロナ禍がはじまりました。大卒の新入社員で言えば、1年生時からすぐに外出制限を余儀なくされ、講義は対面ではなくリモートで行われました。しかし、まだ環境は整っておらず、満足に講義を受講はできていません。全国的に最後のまん延防止法が解除されたのは、2022年3月21日で、入学してから2年間はフルリモートでの授業が続いたこととなります。

3.危機感をもって就活を行っている=目標意識が高い

    コロナ禍明けのタイミングで就職活動を経験しました。企業の業績悪化のため前年度の採用数は激減しました。今年の新入社員も就職活動には危機感を持ち、早期に活動をスタートさせ、熱心に取り組みました。また、アルバイトの制限による生活苦の影響、人出不足による採用条件の改善の影響もあり、やりがいだけでなく、待遇や条件に対する意識も高いです。

4.本年の新入社員の傾向

    先の時代背景、データ、および研修での生の声をもとに得られた新入社員の傾向値は下記の通りです。

①学力高い

    義務教育時代の読み書きソロバン、社会知識などの学力は高いです。総じてお利口さんです。

②コミュニケーション力高い

    リモートの環境だからコミュニケーションに難がある、は完全な誤りです。考えが伝わりにくい限られたリソースの中で努力して発信をしてきたため、非常にコミュニケーション力が高いです。

③上昇意欲はあるが、成長できない環境であれば見切る

    いま、大手企業を中心に若手社員の待遇は大幅に向上しています。将来の成長、待遇向上が望めない環境であれば早期に離職し、転職の道を選びます。「ここにいても無駄」コスパ、タイパの時代。

④社会の泥臭さには慣れていない

    社会貢献、などの理想論や知識は持っているが、実体験に乏しいためどちらかというと頭でっかちです。

5.育成のための対策ポイント

    新入社員を、将来のリーダーに育て上げるポイントは次の通り。

①優秀な指導係

    そもそも指導係が優秀か。優秀さだけでなく、共感力が高いか。新入社員の方が優秀であれば上司・先輩に指導はできない。

②社会人としての基礎的な心構えをまず最初に伝える

    できるだけ早期に「原因自分論」、「基本の徹底」、「相手に対する配慮」等基礎的な心構えを浸透させてください。後出しはダメ。

③まずは徹底的なティーチング

    「君ならどう思う?」のコーチングは厳禁。まずは正しい仕事の目的、進め方をしっかりと伝えることが重要。

④経験をさせる~時には社会の理不尽さも味合わさせる

    「頑張っていても成果が上がらなければ待遇の向上はない」、「社内の人間は優しくてもお客さまは必ずしも優しくない」、など理想と現実のギャップは数多くあります。できるだけ早期に経験させ、同時にしっかりとフォローをしてあげることも必要です。

6.今年の新入社員が育ってくれれば、会社も飛躍的に成長する

    優秀な新人が会社に愛着を持ち、会社をけん引する存在になれば、会社も飛躍的に成長することは間違いありません。

【ポイント】
あなたの会社は新入社員に選ばれる会社ですか?

お電話でのお問い合わせはこちら

03-5877-2540

FAX:03-4500-9660

よく読まれている記事