会社は矛盾の宝庫。その矛盾の解決を目指し、必死に動け

会社は矛盾の宝庫。その矛盾の解決を目指し、必死に動け

2025/01/01

会社は矛盾の宝庫。その矛盾の解決を目指し、必死に動け

◆会社、上司に対する不満のオンパレード

 今回の文章は少し、営業のテーマから外れます。ある会社で実施した研修内でのエピソードです。講義の中で、「顧客満足」というテーマの解説をしました。すると、私も初めて経験するような事態が起こったのです。受講者ほぼ全員が次々と、会社や上司に対する不満を口に出しはじめる、という状況です。ある方は怒りの口調で上司の欠点をあげつらいます。またある方は悲しみの表情を浮かべながら不満を吐き出します。私は急遽、研修のプログラムを変更し、その主張にしっかりと耳を傾け、一人ずつアドバイスを行いました。予定していた研修時間終了後もできる限り、個別対応を行いました。メンバーが述べていた不満は次の通りです。「自社に満足していないのに、お客様の満足などどうでも良い」、「上司(社長)が全く話を聞いてくれない」、「上司の頭が悪い」、「やってもやらなくても評価が変わらない」、「給与が低い」、「休みが全く取れない、やむを得ない理由であっても取得すると嫌みを言われる」、「そもそも仕事が面白くない」、など。よくもここまで不満が蓄積するものか、と驚くほどでした。中には、会社(上司)側に明らかに非があり、改善すべきこともありましたが、ほとんどの不満は自分のとらえ方や考え方を改めれば改善できるものでした。私は年間200回ほど研修やセミナーの講師、会議や営業の支援でお客様先に伺います。その中で感じるのが、大企業、優良企業、歴史のある企業、中小・零細企業など、業種や規模を問わず、ほぼ全ての企業に言えることですが、「会社は矛盾の宝庫である」という事実です。矛盾が無い会社はありません。必ずしも優秀な人が上司であるわけでもなければ、非の打ちどころのないほど素晴らしい労働環境なども存在しません。

◆いまの会社を選んだのは、結局自分である

 会社や上司に対する不満を述べている方は重要なことを忘れています。「いまの会社に入社しようと決めたのは自分である」という事実です。私たちには選択の自由がありますので、別に入社しなくても良かったのです。「入社の際にはこのような状況であるとは知らなかった」、「事前にきいていた話と現状の会社は全く異なっている」などと言われる方もいらっしゃいますが、見抜けなかった自分にも原因はあるのです。原因を他に求めていては物事は解決できません。何事も原因自分論でとらえることで、打つべき手は無限に湧き出てきます。

◆自分がコントロールできないことに執着しても物事は変わらない

 会社は組織です。「部下を代える(変える)ことはできても上司を代える(変える)ことはできません。」どんなに自分の考えと合わない、不出来であると思う上司であっても上司は上司です。上司の考えや指示は、いわば自分のコントロールできないもの。変えられないものに執着したところでエネルギーの無駄遣いです。それよりも、コントロールできる自分の行動、結果を変えることを目指した方がはるかに理にかなっています。

◆会社や上司に不満を抱えず、モチベーションを上げる方法

 それでは、会社や上司に不満を抱えることなく、モチベーション高く業務に集中できるにはどのようにすれば良いでしょうか。それが下記の通りです。

①モチベーションは結果がでれば後からついてくる

 脳科学的には、ゼロの状態からモチベーションが生まれることは無いといわれます。行動が先なのです。良い行動をし、継続すればその行動が習慣となります。習慣化できれば結果は早かれ遅かれ出てきます。結果が出れば不思議なことに以前よりモチベーションは上がります。「モチベーションが低い」、と悩んでいるときこそ、「動く」必要があるのです。

②評価は自分で決めるものではなく、他者が決めるもの

 「こんなに頑張っているのに上司が評価してくれない」などと愚痴文句を言ったところで、原則、評価は他者が決めるもの。自分の評価が高かろうが、他者が認めていないのであれば、それは評価に足る働きをしていないのです。真摯に受け止め、どのようにすれば評価が上がるかを考え、それを愚直にこなしていくことです。

③責任と権限は等しくない

 一倉定氏の名著「マネジメントへの挑戦」の中ではこのように述べられます。「責任と権限は等しくならなければならないという伝統的な組織論は完全に誤りであり、実現できるわけがない」と。責任に見合った権限を測る物差しは存在しないからです。私もその考えに同意します。では、権限をどのように勝ち取ればよいか。それが、与えられた業務の中で目標達成し、結果を出し、上司から権限を獲得していくことです。「権限がない」と嘆いている方は、「結果を出す」ことから逃げているだけなのです。

④モチベーションの低い集団に属すればモチベーションは低くなる

 前述した不満だらけの組織を振り返ってみると、どうも組織の中で不満の広がりが起こっているような気がします。日頃から社員同士の会話は愚痴文句ばかりなのでしょう。その雰囲気を断ち切るのがリーダーの役割。リーダーはメンバーを鼓舞し、結果を出し、モチベーションを継続する組織をつくる必要があります。

◆会社は矛盾の宝庫。だからこそ自分がその矛盾を解決する

 今月号のタイトルである「会社は矛盾の宝庫」という言葉は、国吉がよく講演会の中でつかう言葉です。私も初めて聞いたときは「なるほど」と声が出たのを覚えています。結局のところ、矛盾を認めた上で、矛盾を解決しようと必死に行動する、時には上司と議論をすることで、少しずつその矛盾は解消されていくのではないでしょうか。また、その行動をできる人材が、結果的に組織の中で評価されていくのです。

ポイント

完璧な会社など存在しない。良い会社を目ざして、一人ひとりがいまの仕事にまい進しなければならない。

株式会社経営支援センター チーフコンサルタント 吉田 敬真

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