■これまでのやり方だと売上は確実に20%減少する
変化が凄まじい。原材料が高騰し、これまで経験したことがない値上げに苦しめられている業界もある。一方、コロナの影響で一気に需要が高まり、空前の売上、利益を叩き出した企業もある。まさにコロナバブル。しかし、コロナも落ち着き、在庫もダブつきはじめ一気に価格が下落。「経営とは変化対応業」どんな環境であれ利益を出し続けなければならない。厳しい経営環境だからこそ企業体質は鍛えられ強くなる。そして収益力も高まる。そのためには変革のスピードを思いっきり上げなければならない。変革とは考え方を変え、やり方を変え、行動を変えることである。
■粗利益と経常利益の最大化で賃金は上昇する
経営者が社員の賃金を上げたくても粗利益、経常利益が伸びなかったら実現は無理。どうもそのあたりを理解していない社員が多い。それどころか部下と一緒になり賃金が低いと会社批判を繰り返す幹部さえいる。賃金の高い会社は魅力的だ。しかし賃金の高い会社は目標に妥協せず強烈に厳しい。逆にいうと賃金の上がらぬ会社は幹部が幹部らしい仕事を全くしていない。組織も甘く、ゆるく、スローな体質だ。ずばり、幹部の動きが悪いだけである。
■令和時代の収益の高め方
令和は一強多弱。強い一部の企業しか残らない。社員のモチベーションを上げ、収益力を高めるのはいうほど簡単なことではない。70%の企業が赤字である。それが物語っている。ありがたいことに日々、顧客の収益を高めるために現場で悪戦苦闘している。その中から見えてくることも多くある。次の9点を参考にしていただきたい。
1.「赤字は悪、目標未達は悪、クレームは悪」の真剣度は?
赤字が慢性化している企業の幹部は口では正論を言う。ところが本音はトップが悪い、会社が悪い、商品が悪いと完全な他責の精神。赤字に対する真剣度が他人ごと。優秀な幹部は赤字を敵視し月次単位、週単位、日時単位、社員一人ひとりの仕事ぶりにも目を光らせている。低粗利益率の受注に対してもコストを下げるなど、収益管理を徹底している。もちろんタンクロ(単月黒字)が当然だ。目標未達も悪であり、クレームも悪と心底思っている。組織はピリピリするが収益力は群を抜く。
2.決める、行動に移す、結果を出すスピードを上げろ
令和時代はスピード経営がこれまで以上に求められる。決めるまでのスピード。行動に移すスピード。軌道修正するスピード。結果を出すまでのスピード。スピードとは危機感そのものだ。もちろん決めたことが全て花開くとは限らない。その場合、やめる理由、根拠を明確にし組織全員に正しく告知することである。ふわっと決めていつの間にか消えていく。これではいくら決めても、収益貢献にはつながらない。
3.粗利益率低下は商品力、現場力、人の質の低下が原因
薄利多売の商売では絶対に収益は上がらない。安売りとは粗利益率低下のことであり、商品力、現場を中心とした人の質が著しく低下しているからだ。原材料価格が高騰する中、粗利益率改善は本来は大チャンスである。そこを価格転嫁できないのは単なる価格のみで勝負していただけである。「あの会社と取引しないと損をする」強みがなければ企業は3年もたずに淘汰される。
4.忙しさを理由に「出来ませんでした。」では赤字になる
様々な支援先に伺う。目標を達成するには今の仕事を見直し、新しいことにチャレンジすることが求められている。そこまではどの企業、組織も全く同じ。しかし目標未達の組織は真顔で「現行業務が忙しく出来ませんでした」と言い訳を繰り返す。「変革」のカケラさえ感じない甘部だ。あなたは大丈夫か?
5.少数精鋭とは全社員を「仕事」から「志事」化すること
収益力高い企業、組織とは少数精鋭が共通点。少数精鋭とは社員一人ひとりの仕事を志事に変えることである。指示されたことしかやらないシゴトを仕事。指示されたシゴトに創意工夫で成し遂げるシゴトを志事。これで大きく生産性が向上する。一人あたりの粗利益、利益も拡大し、結果として少数精鋭となる。日本が最も世界で競争力が高かった1980年〜1990年初め。本当に良く働いた。そこにあぐらをかいた結果、失われた30年になった。これがいわゆる日本病。競争から逃げ何でもかんでも人のせいにしては企業が成長しない日本病になる。幹部は一に仕事、二に仕事、三、四も仕事だ。
6.物流を制する企業が勝ち残る
少子高齢化とともに慢性的な人手不足が続く。特に物流(配送)業務は深刻だ。その中でも物が大きく重いものを運ぶ物流は募集しても採用が困難。基本的に現場まで自ら運ぶため若い男性が適任だ。自動運転、ロボット化も将来、現実となる可能性が高い。しかしまだ先であろう。解決策はというと高賃金で雇用することだ。それが一番手っ取り早い。物をつくっても運べない、遅延、誤配が多いのではクレームになるし、信用を落としてしまう。高い収益力があれば高い賃金で雇用できる。
7.進化を続ける企業は主力商品、顧客が変化する
自社が成長した時代を鋭く分析していただきたい。新商品が売れに売れた。大きな得意先が獲得できた。拠点が拡大した。何かが変化しているはずだ。10年前と比較して主力商品、主力得意先も変わらない。このような企業の売上高はジリ貧なはずだ。時代の変化を察知し、次の成長の種まきを怠らない。このような危機高い企業はどのような環境であれ利益を上げ続けている。
8.縮小するマーケットに勝機あり
いま最も伸びている市場はIT、AI、DXというデジタル化市場だ。しかし、伸びている市場だけに競争は強烈に厳しい。デジタル化時代に入り早20年。生き残っているデジタル関連企業は本当に少ない。また伸びゆく市場は資本力が物を言う。中小企業が創り上げたビジネスモデルを圧倒的な資本力でオセロゲームのごとく一気にシェアをひっくり返す。むしろ縮小するマーケットは倒産、廃業、撤退、そして人材不足が目立つ。圧倒的な営業力があれば間違いなく残存者利益の恩恵を受ける。
9.経営とは人を育て純資産を拡大し賃金を上げること
人を育てるとは愛社心とモチベーションを高め生産性高い人材に変えることである。そんな人材が粗利益と経常利益を最大化できるのだ。それによって企業は純資産が増え自己資本比率が高まり強い体質となる。社員にも大きな還元が可能となる。賃金が安いのは極めてシンプルなことである。目標未達、収益力が低い、それにつきる。
■リーダーは働く美徳を部下に伝えろ
投資で金持ちになる的な出版物も多い。ユーチューバーで面白おかしくお金の稼ぎ方を身振り手振り交えて熱弁を振るう。私には偽善者にしか映らない。京セラ創業者である故稲盛和夫氏の言葉がドーンと心に響く。「物心両面の幸福の追求」これこそが働く美徳だ。 (株式会社経営支援センター 国吉拡)
ワンポイントトーク
【激変する市場と顧客の要望に応えるには、まずは、リーダーであるあなた自身が変革することだ!】