■令和時代は一強多弱の時代となる。
データから近未来を予測してみる。2022年の日本の人口1億2500万人。2050年には9750万人と25%減。毎年85万人以上減少する。山梨県と同程度の人口が消滅する。GDPはアメリカ、中国につぎ世界3位。2050年には9位に転落する。一人当たりのGDPはかつて世界2位が落ちに落ちて28位と先進国で最下位。法人数(国税庁出所)現在270万社。これも半分程度になるはずだ。日本は豊かな国ではなくなった。
「昭和」1980年~1991年。絶頂期、バブル崩壊
バブル真っ只中、東京都を売ればアメリカが買えると揶揄された。世界の時価総額ランキングでもトップ10に7社ランクイン。いまやゼロ。自動車業界でいうと1位のトヨタ、2位の日産、3位のホンダとシェアに関係なく多くの企業が利益の出る夢のような時代であった。
「平成」1992年〜2021年。失われた30年
平成の始めはアメリカと変わらぬ日本の賃金水準。アメリカは当時20万の給与とすると1.8倍になり36万円。日本は30年で0.4%しか伸びず20.8万円。しかも消費税3%で、社会保険もいまほど高くはなかった。ファーストフード業界で例えると1番のマクドナルドは儲かり、2番のモスバーガーはチョイクロ(ちょっと黒字)、3位のロッテリアは赤字。日本の経済は30年全く成長せず世界の産業競争から大きく遅れ始めた。
「令和」2022年~一強多弱。一番しか残らない時代
平成時代は31年間続いた。令和はその5倍のスピード感をもって社会、市場ともに変化する。つまり6~7年で平成時代の変化に匹敵するわけだ。様々なデータに裏打ちされているように国民全員が豊かになる可能性はもはや0パーセント。ひと握りの強い企業が利益を出し、他は赤字となり淘汰される。これまでとは次元が違うとんでもない格差時代が到来する。まさに一強多弱時代だ。そしてこれからの時代は一番しか残らない。何の一番になるのか?どのようにして一番になるのか?全社員が真剣に考えるべきだ。
■閉塞感漂う時代は若手を鍛え主役にせよ
若手の活躍で行動力の欠如した中堅社員は刺激を受ける。そしてマンネリに陥ったベテランには気づきを与えるはずだ。若手社員を鍛え、生産性を上げるポイントは次の7点。
1.ゆとり世代、さとり世代の意識改革を促せ
給与も生活ができるくらいで良い。営業実績も中位で大満足。多くを望まない世代がゆとり、さとり世代だ。管理職から見ると何とも無気力、無関心、無感情に見えてしょうがない。昨今、物騒な事件があり記載しにくいが、それを変えるには「洗脳教育」しか方法はない。学生時代グレていた人間が就職し、しばらくたつと目を疑うような好青年に変わっている人間がいる。「洗脳」するには尊敬される教祖が必要だ。その教祖こそ管理職である。箸の上げ下ろし(躾)。仕事への姿勢。人生観を変える以外方法はない。
2.多産多死型のステップを踏んで優秀社員が残る
工場系の採用は意外にも定着率は高い。やはり数値目標が設定される営業系の定着率がどうしても低くなる。多産多死型とは辞めていく前提で多めに採用せよということだ。10人採用して一年後には3人しか残らない。しかし、その多産多死型を経験せずして定着率が高まることはない。採用して育てるノウハウを学ぶには5年は最低かかる。そうすることで10人採用して、3年後に7人残る体質が構築される。しかも残った7人は優秀社員だ。これが現実である。
3.怖い上司のもとで若手社員は飛躍的に伸びる
ビジネスにおいて怖い上司は悪ではない。むしろ善である。怖さを感じるのはその上司に仕事の厳しさや人間力含め尊敬の念を抱いているからだ。最初は怖いから動く。怖さが強制となり強制が自発性を芽生えさせていく。何よりも怖さがなければ組織にゆるみが出てしまい仲良しクラブ化する。上司の怖さとは本気の仕事、本物の人間力、本質を見抜く眼力があるから。怖くない上司は部下になめられ統率力も弱い。
4.ビジネスは慈善事業ではないことをしっかり説明せよ
最近の学生は社会に貢献したい、人の役に立ちたいという想いは本当に強い。素晴らしいことだ。だからこそ企業のかかげる経営理念に惚れ、夢を持ち入社する。しかしである。その経営理念を具現化するにはドロくさい業務が山ほどある。そしてビジネスとは常にお金が絡む。そこを全く理解していない。企業側も美しい理念は説明しても仕事の厳しさは説明が不充分だ。入社したときと話が違う。やりたいこととかけ離れている。中にはうつ病、適応障害と診断書を持参し道半ばで去っていく。経営理念の実現は慈善事業とは全く異なる。入社前に強く説明すべきだ。
5.気にする文化、社風を創れ
部下がどうしても業務都合で顧客に見積りを持参できない。そこで代わりに面識のある上司が見積りを持参。普通なら結果をものすごく部下が気にしていると当然のごとく思う。ところがその若手社員はその結果を一向に聞こうとも確認しようともしない。こんなことはうちの会社ではありえない、という管理職も多いはずだ。本当にそうだろうか?この事例はどの企業、組織でもあるあるなことだ。業績魂が弱い。数字に執着心がない。これこそ体質。気にする文化、社風があればある程、高収益企業である。
6.ユルい指導で人は辞め、厳しい指導でプロになる
多くの企業の現場で強く感じることがある。それは新入社員、若手社員への指導がユルく、甘く、妥協している点だ。子供を甘やかしている親の姿と瓜二つ。辞められたらいけない。そうなれば困るが頭の中にあるのだろう。本人の成長を願うならピシャリと言うべきことはいう。そうしないと人は育たない。皮肉なことに、あまりにもユルすぎてこれでは成長しないと辞めていく新人、若手が急激に増えている。
7.辞めたいと言ってくる社員への対応
辞めたいと言ってくる社員にも色々なケースがある。残業が多いから辞めたい。プライベートを重視するゆとり、さとり世代に最も多い。仕事の基本、効率的な進め方を指導することが求められる。とにかくここを乗り越えろと鼓舞することだ。転職したい。この場合は本人の見通しが甘い。他社へ行けば即戦力と期待される。この会社で実力をつけて転職した方がベストとアドバイスすることが本人のためになる。一度辞めたいと相談があった。しばらくして二度目の辞めたいの相談。これは誰にも止められない。
■売上増は勢い。率は質で決まり、質は人で決まる
令和は一強多弱の時代。一番しか残らない。そのためには若手を鍛え、組織に活力、勢いをつけることが必要不可欠。成長企業には優秀な若手リーダーも続々と育っている。そこには目標を達成し自らの成長を願う、そして稼ぐんだという企業文化、風土がある。売上増は戦略であり組織の勢い。粗利益率、営業利益率、率は経営の質である。その質を高める主人公はいつの時代も「人」である。 (株式会社経営支援センター 国吉拡)
ワンポイントトーク
【高付加価値=人の創造!リーダーは一切の妥協なく、全力で若手社員の育成に取り組め】