「人間力」営業の時代がやってきた(2021年10月号)

「人間力」営業の時代がやってきた(2021年10月号)

2021/10/01

「人間力」営業の時代がやってきた(2021年10月号)

 今回は2011年に某企業向けに執筆したコラムを加筆修正し、4回に渡りお送りします。10年前の内容ではありますが、多くの経営者からいまだに幹部の皆様にお読み頂いていると声を聞きあえて連載いたします。

 表現内容がこれまでのニュースとは異なりますが、参考になれば幸いです。

■個性を伸ばすだけではダメ営業となる

  不易流行という松尾芭蕉の言葉があります。不易とはいつの時代においても変わらない基本であり、ものごとの原理原則を守るということです。流行とは時代に合ったやり方進め方で、読んで字のごとく、流行ものです。

 私自身も泥臭い営業の出身であり、多くのデキル営業を現場目線で見てきました。彼らの共通点は驚くほど不易(基本や原則)を大切にしていることです。身だしなみ、挨拶、言葉遣いなど、まず人としてできて当たり前の基本が徹底されています。決して話法や専門知識が飛び抜けて優れているというわけではありません。

 厳しい経営環境になればなるほど、お客様はより本物志向となります。だからこそ基本をしっかり身につけているかどうかをお客様はシビアに見ているのです。基本のできていない人間にお客様の信頼を勝ち取ることはできません。そして、基本を無視した個性は我流となり、ある一定レベルで成長がピタッと止まってしまうのです。

■顔は履歴、目はヤル気

 やはりできる営業は良い顔をしています。表情からこの人なら安心だというような人柄がにじみ出ており、自然にお客様との距離も近づいてきます。

 目を見ると素直さや誠実さ、そして熱意といった仕事に対する熱さを瞬時に感じ取ることができます。有名大学の経営学の講義にはマーケティングやファイナンス、財務といったテーマは数多くあります。しかし、営業や販売といった講義はまずありません。つまり、学問で教えることが不可能な世界なのです。そこに営業の面白みや深みがあります。勉強ができた学業優秀より、仕事に対する姿勢優秀が結果を残しています。毎日何を考え、どう行動しているかが売れる顔を創り、お客様を満足させてあげたいと思う強い心が、温かい且つ誠実な目とお客様にはうつっているのです。お客様から見る第一印象とは顔と目であり、成約の90%はそこで決まると言っても過言ではありません。

■「人間力営業」実践、7つのポイント

 いま、人間力という言葉をあちらこちらで耳にします。しかし実際は、言葉先行で、人間力という定義はありません。そこで私は次の7つの項目を挙げて定義づけしています。

①【誠実、正直、一生懸命】まず人としての品格が何よりも重要となります。ウソをつかない、ごまかさない、人のせいにしない。この様な事を社内でできているかが問われます。仮に、できていなければ間違いなくお客様にも同じ事をくり返しやっています。最初はお客様も気づく事はないでしょう。しかし、いづれ化けの皮ははがれてしまうのです。そんな人間はクレームをこえ大問題を引き起こしてしまいます。

②【2回り以上離れた年上から好かれる】2回り離れた年上とは、24才の年の差があると言うことです。営業が25才だとお客様は49歳、営業が30才だと54才ということになります。自分の両親と変わらない年上から好かれると言うことは、気づきのレベルが高くて、それなりに勉強している証と言えます。彼らは人生経験も豊富なので、本物を見極める眼力があります。

③【笑顔にこそ、その人柄がにじみ出る】笑顔の絶えない人間はそれだけで印象が良く、お客様も心を開いてくれるものです。しかし、笑顔にもいろいろあり、時にはその笑顔が逆効果となることもあります。作り笑顔、ゴマカシ、笑顔、顔だけ笑顔(心は決して笑っていない)などがそうです。本当に共感される笑顔とは、現場で誰よりも汗をかき、そして、お客様の希望をかなえてあげたいと思う営業にしかできない一つのスキルなのです。笑顔も商品の一つということを忘れてはいけません。

④【気づきのレベルを上げる】タバコを持って来てと言われ、タバコしか持っていけない人間の生産性はグーンと低下します。お客様の心をつかみ、生産性を上げられる営業は、灰皿とライターも一緒に持っていくことができるのです。気づきのレベルを上げるには、そのお客様のことが好きになることが大前提。その一方、何が何でも目標を達成するんだという意気込みも必要不可欠です。その二つが高いレベルでバランスされれば、必然的にお客様の心を読み取ることができるようになるのです。

⑤【レスポンスの速さ=熱心でありヤル気の証明】インターネットも進化を続けあらゆる情報が瞬時に入るようになりました。その武器を活用しさぞかし、スピードやレスポンスが速くなったか?と言うと決してそうではありません。スピードやレスポンスの速さは、心の底からお客様に貢献したい。その一心が全てを速く速く、と前に押し進めていくのです。お客様から見ると価格以上の価値をそこに感じます。これが顧客満足を高める基本中の基本となるのです。

⑥【あらゆる「ぱなし」を撲滅する】言いっぱなし、見積り出しっぱなし、売りっぱなしという具合に、ぱなしはクレームの原因ともなります。仮に、取引が成立してもこれでは値引き対象となり適正利益を確保することが困難になります。ぱなしは、心のゆるみや今日の仕事を明日に伸ばす後処理型のタイプに多く発生します。売る時より売った後が熱心さをお客様が感じる事で取引は長く続きます。

⑦【商品知識、専門知識が豊富】右手に人間力、左手には専門性、これこそ営業が目指すべきスタイルなのです。いくら人柄が良くても商品知識や専門知識をもっていなければ頼りなく見えてしまうもの。これでは単なる良い人で終わってしまいます。特に、高額商品を扱う業界では専門知識が絶対に必要となります。そして、資格を取得するのもお客様に安心を提供できるポイントとなります。

■徳を積む営業に転換しよう

 こんなに頑張っているのに給料は上がらない。売れないのは上司が悪い、いや、厳しい時代だからしょうがない…といった営業も多く存在します。営業にとって、トクには2種類あります。一つは得。給与や休みのことを優先するタイプ。もう一つは徳。自らの人間性と専門性を磨き続けているタイプ。

 伸びない営業ほど得を優先しています。逆にいま活躍している営業は100%徳を優先しています。徳=人間力×専門性、徳を優先すると必ずその後に得がついてくるものです。これこそが人間力営業の真髄。いまの会社で通用しない人間が転職しても給料が上がることは絶対にあり得ません。その 「徳」の考え方と実践があれば、あなたにとって一億円に匹敵する価値となることでしょう。

(経営支援センター 国吉 拡)

ワンポイントトーク
【 基本の徹底で人間力が磨かれる。厳しい環境の今こそ、初心に立ち返り、人間力営業で勝負せよ! 】

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