■言行一致、有言実行が問われる時代
「ゴールデンウィークは庭でバーベキューを楽しんだ」と某県知事がツイート。それが大炎上。GW前には知事自ら「同居家族以外との会食を控える」「ビーチパーティーの自粛」を呼びかけていたにも関わらずだ。あとの言い訳も見苦しいの一言。結局、ツイートは削除され、某県知事は県民に陳謝した。リーダーの言行不一致、有言不実行では信頼が崩れ、人は誰もついてこない。危機の時代は指揮官の旗振りが最も重要。日頃、どんなに素晴らしい対策を講じても、これでは10年先をもっても信頼を回復することは不可能だ。
■現時点での市場の流れ
1日単位で市場が変わる時代。現時点(5月20日現在)での市場のトピックスは次の3点。
①日本ではテレワークは定着しない
アメリカは結果が出なければ簡単に解雇できる。その証拠にコロナで失業率が3.7%(2019年)から8.1%(2020年)に上がり、現在は6.1%と下げ止まっている。要は与えられた仕事をこなせば良しとする考え方。一方、日本は法的制約もあって、社員を簡単に解雇できない。テレワークは、目が届かないし、指導が後手後手となる。組織力は半減し、生産性は低下する。
②ワクチン格差が経済格差となる
国内のワクチン接種は、あと一年くらいかかるのではないか。ワクチン接種が進むアメリカやイギリスは経済復興が進む。日本の経済的立ち位置は下がる一方だ。経済成長が停滞すれば、貧富の格差が著しく広がる。世界一、貧富の格差が大きな国となる日も近い。
③SDGsの浸透で購入動機が激変する
17の目標をかかげるSDGs(持続可能な開発目標)。バイデン政権は人権にとりわけこだわる政治手法を取る。ヨーロッパも歴史的に人権には厳しい態度だ。そこでタッグを組み、中国包囲網が形成されつつある。安い物には理由がある。児童労働、低賃金労働等。今後、商品ができるまでのストーリーを消費者は厳しくチェックする。安いだけでは売れない時代がやってきた。
■動く人間、結果の出る社員の育て方
ビジネスモデルが画期的でも、人の付加価値が低ければ業績は一過性で終わってしまう。ライバルにいい所取りされ、優位性が維持できなくなるわけだ。人の付加価値や成長があればドンドン進化を続け圧倒的「差」が生まれてくる。どのようなビジネスモデルが儲かるのか、ではなく、どのようなリーダー、社員が存在するかで業績はいとも簡単に変わっていく。動く人間、結果の出る社員の育成ポイントは次の11点。コンサルティング活動を通じ感じたことをまとめてみた。
強いリーダーシップを発揮する
1.目標達成にドン欲、妥協を許さないリーダーたれ
とにかく出来ませんを言わない。いまできることを脳がはちきれんばかりに考え抜き、良いと思ったら即行動する。
2.過去の苦労話より、未来の夢を熱く語れ
結果を残した人間の苦労話はユーモアもあり実に勉強になる。レベルの低い苦労話を語っても感動や共感もない。未来の夢に向かって真剣に走るトップランナーこそ、人がついてくるリーダーなのだ。
3.上に立つ人間は24時間営業の思考を持て
何をやっていても仕事のことが脳裏に浮かぶ。休日でも仕事が気になる。寝ていてもアイディアが浮かび忘れないようにメモを取る。まさに寝ても覚めても仕事づけ。それは高い目標を設定し真剣に取り組んでいるからだ。このような人間こそが強いリーダーシップを発揮している。
4.動かない部下はリーダーに対する尊敬の念がないだけ
人は言葉や、役職だけでは動かない。仮に動いたとしても決して本気ではない。心ここにあらずだ。その道一筋。誰も見ていないところで努力している。そして圧倒的な成果を叩き出している。そのようなタイプこそ、尊敬されるリーダーである。
人を育てる
5.長所を伸ばせば短所は縮こまる
どのような人間にも必ず長所はある。人育てのコツは、その長所を大きく伸ばすことである。ささいな長所で良い。いつも笑顔。身体が丈夫で休まない。長所を深く大きく伸ばせば必ず適材な職務にたどり着く。同時に短所が隠れてしまう。
6.加点主義は前向きになり、減点主義はヤル気を失う
他人と比較するのではない。過去の本人と比較することで成長の跡が必ず見える。そこを褒めるのだ。それが加点主義。本人のヤル気は勢いを増す。減点主義は後ろ向きの話しや指導でウンザリ感が漂う。人によっては萎縮するだけだ。
7.嘘をつかない、ごまかさない誠実な社員を育てよう
人育てで最も重要なことである。優秀な社員の前に誠実な一人の人間に育て上げることだ。どんなに成長速度が鈍くても誠実な人間は亀型で一歩一歩前に進む。人育てに特効薬はない。徐々に効いてくる漢方薬的処方が確実に効果が上がる。
8.部下の小さな悩みに手を貸せ
相談があって手を貸すリーダーは三流。中にはこんな小さなこと、誰にも相談できないと悩みを持っている人間も多い。部下の小さな悩みに気づき、さりげなく導く。それが一流。「自分のことを気にしていたんだ」とリーダーの心を感じる。そんな部下は本気で動き一皮むけるものだ。
9.一般論では人は動かず。具体論とは数値化することだ
要所に数字が入っていないとアドバイスはピンとこない。フワフワしており何をやっていいのか明確さに欠ける。「クレーム撲滅」の議論。ならば毎月のクレーム件数、クレームにおける値引き、起こった原因、対策までキチンと報告し共有する。それが具体論だ。
10.「成功体験」と「感動体験」で人は変わる
モチベーションが上がらないと悩む社員は共感性が低く、冷めた物の見方をすることが共通点。それを克服するには顧客から多くの「ありがとう」をもらう仕事をすることに尽きる。必ず気づきがあり、やりがいや感動を体感するはずだ。成功体験で自信がつき、感動体験で人は変わる。
11.優秀な人間を甘やかしてはいけない
これではある一定レベルへ成長しても、その後の成長は見込めない。結果が上がらない人間への指導に目がいき、時間を費やしてしまう。そこが人育ての盲点。優秀な人間にも常にテーマを与え、厳しく指導する。そんな組織はピリッとした心地よい緊張感があり、人が育つ風土となる。
■リーダーの最大の敵は変化を嫌うこと
変わらなきゃいけないんだと、部下に鼓舞するリーダー。しかし、その熱は部下に全く伝わらず、しらけた雰囲気。実にあるあるの場面。まずはリーダー自ら過去の成功体験を捨て、考え方を変え、やり方を変えなければならない。迷ったら常に原理原則に立ち戻るべきである。実は変わり方のヒントは足元に隠されているのだ。(経営支援センター国吉拡)