■生産性向上を目指すためのマネジメントの実践
日本の所得は30年以上変わらず、いまや韓国、そして台湾にも抜かれ、かつての2位から22位に転落。実質賃金(手取りから物価高を差し引いた指標)も4ヶ月連続マイナスだ。競争、変化から逃げ、いつの間にか甘く、ゆるい国となっている。おまけに働き方改革という名の働かせない改革が進み、赤字企業は増え大倒産時代へまっしぐら状態だ。国はどうあれ自分の会社は社員全体で守る。自分の給与は自分で稼ぐ。赤字は悪であり、いずれ淘汰される。予測不能な時代だからこそ原点回帰、基本が重要だ。時代を見据えた生産性向上のマネジメント着眼は次の7点。
1.リーダーの有言実行、言行一致の精神
リーダーは部下の行動や仕事ぶりを常に意識しシビアに観ている。しかし部下はその10倍、鋭い洞察力で監視しているのかのごとく観ている。部下が指示しても動かないのはリーダーの有言実行が不足しているだけであり、原因は常にリーダー自らにあるものだ。
2.目標達成までのイメージ、戦略、施策を考え抜く
常日頃から強い危機感を持っているリーダーは目標達成までのあらゆる「不足」を把握している。目標数値に対し重点商品、重点顧客、重点人材を一瞬にして組み合わせ、そのイメージが即脳裏に浮かぶ。目標達成までの戦略や施策を「三日間時間をください」というリーダーは完全に危機感不足と言える。パワーポイントを駆使して綺麗にプレゼンしても目標達成は難しい。
3.目標管理、先行管理の導入と定着
この程度の管理はどの企業の幹部に聞いてもやっています、と答える。しかし直接、会議に入ってみると極めてレベルが低い。まず目標に対する意識の弱さ。抽象的な差額対策。頑張ってくれ〜という具合いの突っ込みなきリーダーの指導。「なんくるないさ」緊張感の薄い会議。未達でも許される空気感。リーダーは部下一人ひとりの目標達成までのシナリオを描き、即、行動し結果につなげることが重要。3ヶ月先の実態予想、つまり先行管理。リーダーの危機感の深さと、先を見て手を打つスピードは完全に比例する。あなたは出来ているか?
4.「 一日決算主義」で3倍のスピードで人は育つ
私自身がリーダーの時、実践し今も多くの顧問先に導入している手法。そのやり方、進め方は次の通り。
【出発前】
①毎日、朝礼後に一人5分程度、個別面談。その日の活動予定を確認し共有
②訪問先への、求める成果を聞きメモをしっかり取る
③そこにリーダーからアドバイスを付け加える
【帰社後】
④朝の個別面談の内容をリーダーが鋭くチェック
⑤成果確認と今後の取り組み方を指導
⑥帰社までにやるべきこと、明日の予定を確認し終了
毎日の個別面談=戦略会議。帰社後の個別面談=一日の成果確認。この流れ、進め方を一日決算主義という。毎日実践することがポイント。それも妥協無しにだ。リーダーも状況把握がより鮮明になる。部下も絶対サボれない。とにかく苦痛で毎日が緊張するはずだ。しかし結果は上がる。部下自身もとんでもなく成長する。
5.顧客が納得する値上げのやり方とその盲点
値上げで最も大切なことは、その理由を明確に打ち出すことだ。顧客も理由は良く理解している。それでも誠心誠意、顧客に向き合いキッチリ値上げ理由を説明する。もちろんコストダウンや素材変更、代替商品の提案も必要となる。値上げの盲点もある。値上げ時期が集中し、事務作業に追われ活動量が極端に鈍る。そのときにライバルがリアル営業をしていると、いとも簡単にひっくり返される。値上げのやり方、進め方にも注意が必要。
6.新しい取り組みがなければ20%売上高は減少する
人口減少、デジタル化、過疎化含めマーケットは大きく変わった。昨年と同じことをやっていては間違いなく売上は落ち込む。常に新しい取り組みが必要だ。売上高上位の顔ぶれが変わった。新商品の売上高が大きく伸びた。新しいルートから受注が拡大した。消費者の財布の紐も、より厳しい。そしてネットでの情報もあり購入前の知識も高まっている。売る側の専門知識を含め顧客を圧倒するレベルでないと今や相手にもされない。
7.臆病、悲観的、性悪説がマネジメントの基本
一見、マイナス的な表現に聞こえるかも知れない。しかし、そんな思考を持っているリーダーは心配性で感受性が高く繊細さも持ち合わせている。だから緻密な計画を立てる。そして抜群な行動力で猛然と突き進む。このようなタイプのリーダーは何事も最後までやり遂げる。
■部下を本気で動かす人心掌握術
言うほど簡単なことではない。人心掌握ができると、その人間の持っている最大能力を引き出すことができる。次の10項目のうち8項目以上なら部下を同じベクトルでまとめ上げ結果を残せるリーダーだ。
①自ら変化し強烈なチャレンジ精神を持っている
②有言実行、言行一致
③目標達成に決して妥協しない
④誰にも負けない努力をしている
⑤部下の10倍、モチベーションが高く、熱も感じる
⑥部下の成長、そして人生を想い指導に徹している
⑦フトコロ深く、脇は少し甘く接している
⑧優秀社員もポンコツ社員も平等に叱れる
⑨手柄は部下へ、責任は自分
⑩厳しい指導が部下の反省につながっている
■フェイス TO フェイス、ハート TO ハートの精神で
、DXの前に、泥臭くあれ。マネジメントに必要な考え方である。リーダー自身が右手に深い人間力、左手に高い専門性を持ち合わせる。その二つを持ち合わせたリーダーが「徳」のあるリーダーだ。そんなリーダーは常に部下の成長を願い、現場に足を運び結果にはトコトンこだわる。だからこそ生きた言葉、響く言葉、突き刺さる言葉が使える。心を感じ人柄がにじみ出る言霊に勝る説得力はない。
株式会社経営支援センター 国吉拡
ワンポイントトーク
【リーダーは経営環境の激変スピードを上回るスピードで成長できているか。リーダーが成長しなければ一瞬にして赤字に転落する!】