空然の企業淘汰が起こる年。その対処策はこれだ!

空然の企業淘汰が起こる年。その対処策はこれだ!

2025/01/01

空然の企業淘汰が起こる年。その対処策はこれだ!

■企業間取引は価格競争激化。消費価格はインフレ

 住宅会社の数は大手ハウスメーカー、地元工務店と何十年も変わらない。しかし着工数はピーク時の半分以下の約80万戸。人口減少もあり、市場は縮小。つまり需要と供給のギャップが生じている。このような業界が実に多い。日本の失業率は世界で最も低い2.5%前後。ヨーロッパは6〜10%と高水準だ。長引く円安で資材コストは値上げが続く。物流費、人件費もまだまだ高騰する。その中で企業は売上を確保するため価格の叩き合い合戦が現に起きている。特徴なき企業は利益確保が困難となり淘汰する。しかしながら小売価格はインフレ、つまり上昇する。どうやら2025年は倒産件数拡大、インフレと大不況が加速する年になりそうだ。

■2025年の経営環境はこうなる

 「残存者利益」縮小する市場においても、生き残ると売上、利益が集中し高収益体質となる。ドンピシャにはまる2025年のキーワードだ。具体的に2025年の経営環境は次のようになる。変わり行く市場に素早く対応することが重要だ。経営環境の変化は次の通り。

政治とは逆行。収益上がらぬ企業は手取りが減少する

 年収の壁議論が活発だ。しかし、そのツケは企業や後世に重くのしかかってくる。年収106万円だと、これまで社会保障費は原則企業50%、個人50%。それを企業90%、個人10%の案も出ている。これではスーパーやサービス業などパート、アルバイトを中心に経営する企業の多くが打撃を受ける。人気取りの政策は企業側の負担が増し収益悪化に直結する。

中長期に見ると確実に円安となる

 通貨とは経済力の象徴である。バブル以降、日本は経済成長も低く、デジタル化の波にも乗り遅れ、世界的企業も減少の一途。国力が低下するのに円高は不自然だ。3〜5年後、1ドル200円時代が必ずやってくる。

中小企業の廃業、淘汰でモノが作れず

 我が国は99%が中小企業。後継者問題と、業績不振もあり、今後、廃業、淘汰が更に加速する。ピラミッド構造の裾野は下請け体質の中小零細企業が多くを占める。設備や金型、技術力の問題もあり、他社では作ることができず代替えが難しい。パーツが揃わなければ完成品とはならず出荷ができない。今後、深刻な問題となる。

■2025年、厳しい経営環境に打つべき手はこれだ

 予測不能な第二次トランプ政権がスタート。混迷する中東情勢。中国の経済低迷と台湾有事。数えたらキリがない地政学リスク。それでも生き残るためには変化に対応しなければならない。その対応策は次の6点だ。

1.働き方改革の本質は生産性向上である

 業績の悪い企業は遅い、甘い、緩いの共通点がある。これでは生産性が著しく低下するのも無理はない。時短、テレワーク、快適なオフィス環境、確かに働き方改革の一部だ。ただ本質は生産性向上に尽きる。ダメ企業ほど働き方改革の意義を全く理解していない。

2.売上総利益(粗利益)の最大化と粗利益率の改善

 売上高を伸ばして営業利益がリンクするかを分析して頂きたい。その着眼は販管費や在庫、そして回収期間である。一見、儲かっているように見えても採算に合わない商品、事業もある。今後の戦略としては売上総利益の最大化を目指すべきである。企業間取引は価格競争が激化している。粗利益の取れる商品の徹底販売、きめ細かいマネジメントで粗利益率の改善を目指せ。

3.総合冬の時代。専門特化型が高収益の秘訣

 かつて日本のお家芸であった総合電機。三洋電機は実質破綻し、シャープは業績不振で台湾の鴻海(ホンハイ)の門下になった。総合スーパーも同様。ダイエーも消滅し、イトーヨーカ堂も大幅に店舗縮小に舵を切っている。市場がより専門性を求めているのだ。専門特化型企業を目指すには条件がある。それは「人材」の質の向上である。付加価値高い人財でないと専門特化型のビジネスモデルは絶対に構築できないし、長続きしない。

4.内製化と外注、委託先を戦略的に判断せよ

 高収益企業のキーエンスは工場を持たないファブレスで有名。しかし、圧倒的な営業力と開発部門でライバルに付け入る隙を与えない。人手不足、技術者不足の環境下においては、内製化と外注、委託先の戦略的判断が求められる。これまでの思考を180度変えるときだ。

5.採用強化。多産多死型でも少数精鋭を目指せ

 2030年には600万人の人手不足となる。現在の5倍だ。採用、定着は最も優先する経営課題。採用強化のためには賃金アップ、年間休日の充実等の条件を満たすことが重要。やりがいだけで入って来る時代ではない。入社しても今度は定着という課題が待ち受けている。ここは割り切りが必要。多く採用して多く辞める。いわゆる多産多死型。そこで残っている人間は優秀なはず。人員は変わらずとも顔ぶれは変わる。これで少数精鋭の組織となり生産性が飛躍的に高まる。

6.次世代リーダー育成と目標に妥協しない社風創り

 人は環境で変わり結果を持って成長する。凡人が非凡に変われるのも環境が大きく左右する。その人が育つ環境を創り上げるのがリーダーだ。頭が固く、過去の実績にあぐらをかいている古参幹部の成長は全く見込めない。新時代に相応しい次世代リーダーを早急に育成すべきだ。新しいリーダーが組織をまとめ、目標達成に執念を燃やす。目標未達では胃がキリキリする。そんな組織は居心地は悪い。しかし実績はグングン伸びる。

■人づくりこそ最強の武器であり最大の資産である

 29年前に創業したとき掲げた理念が「人を創り、人を育て、人で勝負する企業を支援します」であった。30歳の若僧が父親より歳の離れた経営者に熱く語っていたのが恥ずかしくもあり懐かしい。経営の神様、松下幸之助氏が唱えた「企業は人なり」が心に強く突き刺さる。IT、AI、ロボットがこれから益々、進化していくのは間違いない。しかしそれらは業績を上げるツールでしかない。担うのは我々、人間だ。そしてお客様のためにという熱い想いや、育って欲しいという愛情は人間にしか伝えることができない。厳しい経営環境の2025年。だからこそ原点に戻り仕事観、人生観を深く考え取り組む「心の経営」を目指すべきだ。人づくりこそ最強の武器であり最大の資産ということを忘れてはいけない。

株式会社経営支援センター 国吉拡

ワンポイントトーク
【世の中(政策、環境)を変えることはできない。厳しい環境下で生き抜くためには、自責思考で、組織改革できるリーダーが求められる!】

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