提案営業の重要性

提案営業の重要性

2024/10/01

提案営業の重要性

テーマ④提案営業の重要性

◆商品・サービスの「利点」とお客様が感じる「価値」は異なる

    私が約10年前に沖縄で立ち上げた、新規事業の事例です。この商品は、いわゆる「セミナー受け放題」のサブスクリプション型サービス。法人会員として月額2万円~5万円の会費をお支払いいただければ、所属する従業員は、月間約20本のセミナーに何度でも受講が可能です。テーマは多岐にわたり、日本を代表する有名講師が担当。サービス開始前から手前みそではありますが、「これほど素晴らしい商品はない。200社、300社すぐに入会するはず」という自負がありました。しかしながら、いざ営業を始めてみると、確かに良い反応を頂き、入会に至る企業様もあるのですが、期待していたほどの数ではありません。品質やコストパフォーマンスの素晴らしさを熱く語っても何か上滑り感を感じるのです。

    これこそが商品の「利点」とお客様が感じる「価値」のギャップです。研修の「コスト」を重要視していないお客様に対し「低価格」を訴えたところで響きません。講師のネームバリューに興味のないお客様に対し、「有名講師担当」と謳ったところで無反応。商品・サービスの価値はお客様によって異なるということを営業は理解しなければなりませんし、価値観の多様化とともに、その傾向は増しています。では、いまの時代、成果を産む営業スタイルはどのようなものでしょうか。それが「提案営業」です。

◆提案営業とは何か

    「提案営業」という言葉を辞書で調べてみると次のように書かれています。「顧客が持っている課題に対し、自社の商品を通して解決策を提案する営業スタイル」。一言で「課題」と言っても色々な種類があります。①目に見えている課題、②目に見えていない課題、③自社の提案で解決可能性のある課題、④自社では全く解決策を提示できない課題、など。営業担当者のヒアリング力が優れていても、自社が提供できる解決策が無い「課題」を抽出してしまうと成果に結びつけることはできません。重要なのは、営業が主導権を取り、ある意味、意図的に抽出したい「課題」を引き出し、その解決につながる提案を行うことです。それができれば、受注確率は大幅に上がりますし、お客様の期待や信頼感も高まります。「おっしゃる通りです。」や、「ウチの課題をズバリと言い当てましたね」などの言葉は、提案前の段階であってもほぼA見込みと判断できる言葉です。

    ここで、良くない事例を紹介します。ある情報システム開発会社より営業力診断の依頼を受け、担当者と営業同行を行ったときのエピソードです。

営業『何か、お困りごとはありますか?』

お客様『今のところは特に問題ありません。』

営業『では、現在の業務プロセスで、もっと早くなったり、手間がかからないようになれば良い点はありますか?』

お客様『・・・問題があれば、その都度改善していますので。』

営業 『 他はいかがですか?何かあると思うのですが?』

お客様『・・・・・』

 営業担当者は一方的に尋ねているだけで、お客様がすでに気づいているニーズしか聞き出せていません。お客様が既に気がついていることであれば、解決しているはずであり、未解決のニーズは、ほぼありません。提案営業で重要なことは、お客様自身がまだ気づいていない課題を引き出すことです。そのためにも事前準備として情報収集が必要となります。成果の上がる提案営業のポイントは次の通りです。

◆成果の上がる提案営業のポイント

①事前の情報収集

    まずは、業界動向や業界の特徴、そしてその会社自体の情報を得るため、勉強をしてください。日経新聞や業界新聞を読んだり、HPをチェックする。上場企業であれば決算の開示資料に目を通すことは必須です。

②ロールプレイングを行い質問力、話法を磨く

    お客様の課題を深堀りする自然な流れの質問。あらかじめ想定した課題に対する解決策としての自社商品のプレゼン。ぶっつけ本番ではなく、事前にロールプレイングで練習を重ねることで、商談の現場で実践ができます。

③お客様に寄り添う姿勢

    「お客様の課題を解決したい」と実際に言葉に出し、お客様の発言に対し深く共感し、傾聴の姿勢を見せること。身体表現で相手に寄り添うことで、お客様と信頼関係を築き、「この営業であれば何でも相談できる」と思われるようになります。

④見えている課題ではなく、見えていない課題に気づかせる

 お客様の発言に注意をしてください。「~を検討している」はすでに見えている課題であり、何らかの対応をすでに実施しています。「~はまだ大きな問題ではない」などの発言は、深堀りをし、課題に気づかせることが必要です。そのために「例えば~をすると効率が上がると思いませんか?」などと、仮説の提示も有効です。

⑤経営課題に視点を向けさせる

 経営課題に近づけば、まだ気づいていない課題が見えてきます。「売上向上」、「利益率向上」、「採用・人財育成」、「資金繰り」、「品質向上」など、ただの現場の作業のレベルから一段高い話題の商談を行ってください。

◆営業とはコンサルティングである

    「課題を発見し、課題に対する解決策を提示する。」これはまさにコンサルタントの思考です。時代は情報社会。ネットで調べれば多少の課題の解決策であればすぐに得ることができます。ただの物売りであれば通販で十分。自分では気づかない課題を気づかせてくれる営業こそが、いま必要とされているのです。

ポイント

コンサルティングができる提案営業が成果を創出する。

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