■リーダーが、がむしゃらに動くだけでは業績は上がらず
リーダーはいかに部下を本気にさせ、そして巻き込むかが大切。組織を率いるリーダーだけが必死に動いても目標には絶対に届かない。野球もサッカーも一人ではできない。一人のスーパーマンの存在よりも、偏差値(平均点)の高い人材集団の方が組織としては圧倒的に強い。今、目標未達のリーダーの日常業務は次の通り。
①会議の頻度が多く、それも「決めない」会議ばかり
②戦略、施策を策定するのみ(浸透と実践は弱い)
③リーダーの主たる仕事がクレーム処理担当
④結果集計ばかりの、いわゆる電卓おじさん
⑤モチベーション低下社員との個別面談
⑥辞めたい社員へのひきとめと説得
⑦仲の良い得意先への茶飲み訪問
⑧結果の上がらない社員へのダメ出し発言
リーダーは常に目標に向かって最短距離を走らなければならない。大事なことは「面」で考え「点」で動くことである。「大局着眼、着手小局」という言葉がある。まず組織で目標を達成するという視点に立つ。これが「面」だ。そこから目標達成の優先順位を明確にする。その行動こそ「点」である。ダメリーダーは「小局着眼、着手ピンボケ」となっている。これではいくら動いても自転車のチェーンが外れた状態となり、目標に向かって前に進むことはない。
■水は低きに流れ、人は易(やす)きに流れる
中国の思想家、孟子の言葉。現代風にいうと、水は低きに流れ、人はサボりに走る。といっても過言ではない。実際、業績悪化に歯止めがかからない組織は本当に甘く、ゆるい。特に、一歩外に出たら営業は自己管理の世界。サボっていてもなかなか気づかない。商売は「攻めと守り」そして「攻撃は最大の防御」。攻める業務を担う営業がサボっては売上が伸びるわけがない。営業のサボりを防ぐリーダーの力強いマネジメントは次の9点。
1.リーダーには「熱」「圧」「恐(きょう)」が必要だ
組織に緊張感がなければ必然的に稼ぐ力も弱くなる。それは徹底してやり切ることがないからだ。稼ぐ力がある組織はリーダーの言動、表情、雰囲気を見ると一瞬にして見てとれる。まずリーダー自身が超がつくほど本気で仕事に取り組んでいる。熱があり、言葉の説得力、圧もすごい。名前を呼ばれたら、何があったのか、と恐ささえ感じる。
2.チャレンジした失敗を励ます器量を持て
恐さだけでは、叱られないための仕事をするだけだ。チャレンジする気概に欠け、やってやるという組織風土にはならない。これまでの延長線の仕事となり大きく業績を伸ばすことも出来ない。リーダーは部下一人ひとりの仕事のプロセスを鋭く見抜くことが求められる。新しい取り組みで結果が出なくても良く頑張った、次は結果が出る、と言った励ましが人を本気にさせる。そこに創意工夫が生まれる。
3.リーダーによるチェック、フォロー、アドバイスが重要
例えば案件管理。リーダーがいかにキメ細かくチェックしているかだ。容赦ないつっこみがあり、受注するための策を具体的に明示する。これこそフォロー、アドバイスだ。危機感高いリーダーは部下一人ひとりの見込案件がどうなっているのかを、完璧に頭に入っている。部下から見るとテキトーな返答などできる術がない。だから熱心に動き、受注を促す提案をドンドンとする。ゆるく、甘い組織にはリーダーのこのような管理が機能不全となっている。
4.日報は即日記入し、リーダーは即日チェックせよ
アキラメ、マンネリ感漂う組織は日報がその日のうちに出てこない。これこそ目標未達の典型的体質。したがってリーダーによる日報チェックもその日には出来ない。組織にスピード感が無く、様々な共有も遅れてしまう。部下が口では頑張りますと言ってもこれでは「心のサボり」があり、まだ本気で仕事に取り組んでいない証明でもある。たかが日報、されど日報である。
5.朝礼の見直しと、帰社後の個別面談を実施
いま業績が伸びている企業の営業部隊は既存顧客を守り、新規開拓も同業を圧倒する。このように業績が伸びている営業組織の朝礼は「朝礼=戦略会議」。帰社後は「部下との成果確認会議」となっている。今日一日、どこに行くのか、目標は何か、予測する成果まで確認する。帰社後、リーダーが部下一人ひとりに朝礼で決めたことの成果確認を行っている。まさに「一日決算」。強い営業部隊は、この様なドロくさいことに一切手抜きをしない。
6.翌週の行動計画の倍増を目指せ
営業の成果は本人のスケジュールを見たら一瞬にして判断できる。例えば金曜日の夕方。翌週のスケジュール、つまり行動予定がどのくらい入っているかだ。ダメ営業は驚くほどスカスカ状態。そのくせ、飲み会の約束はしっかりスケジュールに入っている。目標達成は、突飛なことから生まれない毎日のコツコツが重要だ。そして準備、段取り、計画があってこそ能力に磨きがかかる。これまでの2倍の行動予定を組み込むマネジメントを徹底することだ。
7.できる社員を甘やかすな
結果を残している社員に対するリーダーの指導力が問われている。いくら結果を残しても基本を逸脱したときに果たして厳しい指導ができるか、だ。優秀社員を野放しにする組織には一体感が無くシラケた雰囲気さえ漂う。結果を残せば何をやっても許される空気が全体のモチベーションを下げる要因ともなる。むしろ優秀社員にこそ更に高みを目指す、厳しい指導が必要だ。
8.リーダーは常に所在を明確せよ
組織の統制はリーダーの居場所が明確であるか、どうかで決まる。いつ、どこで何をやっているのか、それが部下の安心感と信頼感に繋がる。逆に、どこに居るかわからない。中にはリーダーと連絡がとれない、それこそ大問題。自分の行動に責任を持ち、組織ファースト、目標達成ファーストで動いている姿を態度で示すことが肝要。
9.直行、直帰は極力避け会議もリアル中心に行え
これは全社員に言えることだ。一度、出社して客先に間に合うのであれば当然、出社すべきだ。サボりの達人たちはそれを実行せず、そのまま客先に出向く。リーダーがそれをやると組織は腐る。時間効率は確かに重要。しかし部下の顔を見た上でのアドバイスはあらゆる効率を上回るモチベーションアップにつながる。会議もオンラインよりリアル会議が中身が濃く決めたことの浸透度が早い。オンライン会議とリアル会議の緊張感は全く違うことを、リーダーは知る必要がある。
■目標未達は100%リーダーのサボりが原因
サボりとは、やるべきことをしない。任務や与えられた職務をすっぽかす行為。要は怠慢だ。そんなリーダーの下ではサボる部下しか育たない。部下はリーダーの行動を信じられないくらい、シビアに見ている。目標未達は役割を全うしないリーダーの「サボり」が原因なのだ。
ワンポイントトーク
【緊張感ある組織を創り上げるために、まずはリーダーが自分に厳しく、仕事に本気になることだ!】