新入社員を一人前に育て上げる指導方法

新入社員を一人前に育て上げる指導方法

2023/04/10

新入社員を一人前に育て上げる指導方法

テーマ⑲「新入社員を一人前に育て上げる指導方法」

    今年、東京では例年より10日以上も早く、3月16日に桜が開花しました。新入社員が入社する4月にはもしかすると既に葉桜かもしれません。社会に出るにあたり、希望に満ち溢れ入社する新入社員もいれば、大きな不安を抱え入社する新人もいます。彼ら、彼女たちが戦力として育つか。もしくは成長もせず、退職にまで至ってしまうかは本人の問題もありますが、受け入れ育てていく立場の上司・先輩の存在が大きいです。今回は、上司・先輩の新人指導方法について解説していきます。

「新入社員の指導を徹底してください!

    食品卸売業A社の4月の風景です。新入社員はそろそろ研修期間が終了し、各部署に配属されます。社長より、受入れ部署の上司・先輩に指示が飛びます。「今年の新入社員は前向きかつ優秀です。早く一人前として独り立ちできるよう、各部署でしっかりと育成を行ってください。」人事の中山課長に新たに新入社員育成の担当となった社員より質問が入りました。「新入社員を一人前に育て上げるにはどのようにすればよいですか?」中山課長は先般の社長のメッセージに加え、新入社員育成のポイントを各受入れ部署に周知することとしました。

【解説】  

私の社会人1年目の話しを紹介します。大手保険会社に総合職として入社。3カ月間泊まり込みでの研修を経て、配属された部署は東京法人営業第6部。担当地区である新宿の企業を中心に経営者保険、退職金、団体保険の提案、新規開拓を行う部署です。配属されてしばらくは、先輩との同行。徐々に一人で営業を行う時間が増えていきました。しかし、大きな転機がありました。

    10月のことです。直属のOリーダーが突然の異動。期の途中のイレギュラーな異動であったため、後任は不在。新人でありながら、部長直属の立場となりました。大企業の部長ですので、中小企業の社長のようなもの。恐れ多く会話さえすることができません。指示もほぼ無し。周りの先輩方も新人に興味をもたず放置。私も次第に仕事へのモチベーションを失っていきました。

    外出してもマジメに訪問をするわけでもなくサボり。適当にウソの日報を提出し毎日の業務は終了。成長実感もなく悶々(もんもん)と毎日を過ごします。2年目になり、新しく上司が赴任してきましたが、悪癖は取れません。その後、退職に至る3年目までの間は非常に苦しみました。もちろん、どんな環境でも結果を出す人間はいます。原因自分論で考えると、上に発信・相談しない私に大きな問題があります。しかしながら人材育成を行ういまの立場で考えると、この事例は大きな教訓を与えてくれます。新人を戦力として成長させる指導方法はどのようなものなのでしょうか。

1.原因自分論を浸透させる

    このコラムで繰り返し説く、原因自分論。配属後すぐに落とし込むことが重要。「上司が教えてくれない」ではなく、「上司に聴きに行く」、「良い会社で働きたい」ではなく「自分が良い会社づくりに貢献する」。矢印を自分に向けることこそが仕事の基礎です。

2.いまの新入社員の傾向を理解する

    弊社では新入社員に対するアンケートを実施し、昨今の新入社員の会社・上司・仕事に求める価値観を抽出しています。その中で押さえておくべきポイントは下記の通りです。

①風通しのよさ 

    「発言ができない。上司が偉そう。」そのような環境は嫌悪の対象。若手であっても発言し、存在を認められる風土づくりが必要。

②しっかりと向き合い教えてほしい。密な声がけ

    最初から任せるのではなく、1年目はやり方・進め方をしっかりと教え、進ちょくなども小まめにフォローを行う。

③社会や組織に貢献したい。自己肯定感

    エンゲージメント。自分が組織に役立っているという貢献意識は自己肯定感につながります。評価すべき行動をおこなったときに「ありがとう、助かる」という声がけは必ず行ってください。

④仕事も大事だがプライベートも大事

    昔の価値観とは大きく異なります。「成果が出るまで深夜・土日も働きなさい」も分かりますが、「決められた時間の中で最大限の成果をあげなさい」の声がけこそがいまは求められます。

3.まずは「やり方」よりも「基本」

    仕事の流れや細かな業務知識よりも重要なのは「社会人としての基本」。挨拶、礼儀礼節、身だしなみ、報連相、ポジティブ思考、レスポンスなどのあたり前のことをしっかりと指導すること。周囲・お客様は個性を評価するのではなく、欠点に先に気づくもの。

4.表面的な「厳しさ」よりも本質的な「厳しさ」を与える

    「厳しさ」は重要ですが、 「こらっ!何をやっているんだ」などの叱ったり、きつい口調の「厳しさ」は単なる感情摩擦を産むだけ。いまの新入社員は感情的な言動そのものに慣れていません。それよりも、具体的かつ数字に落とし込んだ高い目標(ゴール)を設定すること。それこそが本質的な「厳しさ」です。

5.上司・先輩自身が尊敬・信頼する存在であること

    人間は感情の動物。上司・先輩自身が結果も出ない、頼りなくてはその発言の重みがありません。まずは自身の仕事に向き合う姿勢を改善し、成果をあげる。新入社員はじっくりと観察しています。

中山課長の通達を確認した各受入れ部署では、直属の上司・先輩のみならず部署全体で新入社員を育てていく環境を整備しました。

【ポイント】
    新入社員が一人前になるかは、受け入れ側の上司・先輩にかかっている。

 一人ひとりとしっかり向き合い、指導をすることが重要。

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